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地域に愛着を持つ人を応援したい

地域に愛着を持つ人を
応援したい

和歌山大学経済学部

足立 基浩 教授

中心市街地の活性化のため、自らも接客を務めるぶらくり丁のオープンカフェ「With」を和歌山大学の学生とともに経営。シャッター通り再生論、まちづくり論、イギリスのまちづくりと都市再生、都市活性化論などを専門分野とし、まちづくりを研究している和歌山大学 経済学部 足立基浩教授 に「地元力」に対する考えを伺いました。


ヒーロー待ちでいいのか日本人?!

昨年大阪で選挙がありましたよね。僕はあの選挙の動きを客観的にずっと見ていましたが、結論からいうと、日本人は他力本願になっていないかという疑問があるんです。誰かヒーローが出てきて、その人に頼めば世の中を良くしてくれるかのように。 日本には昔から他力本願思想があり、 この10年間は特にそういうヒーローのような人たちを求めているように思えます。
このまま他力本願だと、日本人は右向け右、左向け左みたいなところにいきかねないと思います。何が起こるかといえば、借金地獄の国になり、自分たちで責任を取らない、他力本願なのですぐ政府や政治家の責任にし、国民が国民の責任を誰も問わなくなるわけです。
そうならないためにも、民が民で支える力というのがとても大切になってくると思います。民間だけでもなく、行政だけでもなく、まさに市民が主体で街をつくっていき、それをサポートすることが大切だと思います。だから民営化一筋でもないし、かつて流行った新自由主義的なものでもないし、お金を使って道路や橋を作るのでもありません。むしろ市民のみなさん、民間のみなさんの自然な力…潜在性を引き出すことが大事だと思いますね。地域力とかを引き出すように。 これからのまちづくりには欠かせないと思います。「新しい公共」がまさにその例だと思います。


新しい公共について

2010年6月に政府が「新しい公共」*1を発表しました。「新しい公共」は、イギリスの「The Third Way(第三の道)」を民主党が参考にしているように思います。「The Third Way」とは、市場でもない、政府でもない第三のやり方で、町・市を活性化させようという考え方です。1997年に保守党(サッチャー首相)から、労働党のブレア首相に政権交代し、提唱したのが「 The Third Way」です。


新しい公共の一例

新しい公共の例として僕が良いなと思うのは、千葉県市川市の「NPO1%条例」*2ですね。このシステムの良いところは、市民税の1%となるとそれなりの資金力が出てきて、割と大掛かりなこともできるところ。お金を寄付するのも汗をかくのもその地域の市民なので、やる意思というのを市民から自然と引き出せますよね。1%の中でやりくりして、上手く活用。市民の知恵が問われるような制度で、ファンドとして良いと思います。これは新しい公共の一種でしょう。
もう一つ僕が良いなと思うの事例をお話すると、宮崎県の商店街の活性化でしょうか。商店街の活性化を目的に今まで宮崎県がお金を出して、商店街補助事業の助成金として、50万円〜100万円を各商店街に渡してたんです。けど全然効果がない。そこで商店街の人たちが、県とかに声かけをして人を育てようと、今回は人材のトレーニングに変えたんですよ。例えば、家賃補助にいくらとか、イベント補助にいくらとかじゃなくて「人を育てることが長期的にその街が元気になる」から、人を育てる塾みたいな形で。面白いのは商店街の活性化メンバーに高校生が入っているんです。新しいことを始めるときに、高校生と商店街の人たちが一緒になって考えているんですよ。高校生が先生を交えて、一緒に何かを始めるなら、これはこれで、すごいパワーになると思います。


「地元力」について

最近は、市民の底力とか「市民」という言葉を地元の代わりに使っている人が増えていますが「地元」にあえて焦点を当てていて良いと思います。僕はこれに近い概念として「センチメンタル価値」を提唱しています。センチメンタルというと、感傷に置き換えてしまうかもしれませんが、フラれた時の意味じゃないですよ(笑)。センチメンタルというのは「愛着」という意味なんです。つまり、心の中にある「地域愛、地元愛」のことをセンチメンタル価値というんです。
ちなみに論文で見つけたんですが、地域愛の強い地域ほどボランティアなどの活動が盛んだそうです。地元に対するこだわりとか、人間関係を育てることは、いい意味でコストのかからないまちづくりができるんじゃないでしょうか。


足立教授が応援したい「地元力」とは?

僕が応援したい地元力は、センチメンタル価値を持った人。すなわち「地域に愛着を持てる人」を応援したいですね。地域愛が持てる人がより多くなってもらいたいなと思います。胸を張って、自分はこの街から来た、そして自分の街の説明ができるようになって欲しいですね。
真のグローバル人、世界で活躍する人は、必ず自分の家族であったり、地元であったりという「拠点」を持っているんですよ。和歌山がこれから発展していくためには、グローバルに訴えかけることも必要だと思いますが、その基本となるローカリティー「地域性」もとても重要だと思います。
僕も地元力を寄付やボランティアで積極的に応援したいですね。

*1 [ 新しい公共 ] 2010年6月に政府が発表。人を支えるという役割を『官』といわれる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域で関わっている人たち、 一人ひとりが参加しそれを社会全体として応援しようという新しい価値観のこと。 *2[ NPO1%条例 ] 千葉県市川市が2005年4月から採用・施行。市民が地域づくりの主体であるボランティア団体やNPOなどの活動に対して、個人市民税納税者等が支援したい団体を選び、個人市民税額の1%相当額等(団体の事業費の2分の1が上限)を支援できるものです(自由意志)。寄付をしたい住民は役所に納税通知書と寄付先を明記した申込書を出すと寄付がされます。現在では、市川市の他にも一宮市が2008年6月から、八千代市が2009年4月から始めています。

Profile

足立 基浩 (あだち もとひろ) 和歌山大学 経済学部教授。ケンブリッジ大学 経済学博士。1968年生まれ。朝日新聞記者を経て、94年ロンドン大学SOASディプロマ修了。2001年ケンブリッジ大学大学院土地経済研究科にて博士号(Ph.D)を取得。和歌山大学経済学部助手を経て、2010年4月より現職。2007年よりフランス・ユーロメッドビジネススクールで客員講師として集中講義も担当している。主要著書に『まちづくりの個性と価値』(日本経済評論社、2009年)、『シャッター通り再生計画』(ミネルヴァ書房、2010年)がある。

みんなの地元力総集編

新しい公共支援事業・「地元力」成果報告書